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ROMANCE世代じゃないオレが聴いたROMANCE。

宮本浩次
画像出典:ROMANCE オフィシャルサイト
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どーも、鬼畜エレファントカシマシファンのJohnnyです。

みなさま、お久しぶりです。エレコラって何ですか?ってぐらいに時間が空いてしまいました。がっ!宮本浩次の初のカバーアルバム「ROMANCE」が、週間オリコン・ビルボード共に1位!そして、いまだにオリコンデイリー上位に君臨し、全店舗品切れ状態、大大大ヒットということで、本当におめでとうございます!(全国ミヤジ祭り)。宮本浩次史上初の出来事でしたが、こうなることはわかっておりました!オレのヒロジ、世界一唄上手いんで!!

今日は、全く「ROMANCE」世代じゃないオレが聴いた「ROMANCE」の感想を、遅ればせながらお届けしたいと想います。

小林武史のアレンジの勝利


ひとえに、このアルバムの良さを確立した要因は、小林武史さんのアレンジだと想います。本当に素晴らしいアレンジです。この「異邦人」や、表題の「ロマンス」は、全く新しい楽曲に聴こえ、尚且つ宮本浩次の歌唱にマッチしています。ロックテイストであり、斬新なアレンジ。普通、アイドルの楽曲や、歌謡曲をここまで振り切った形にするのは難しいと想うのですが、タケシコバヤシの圧倒的アレンジセンス。ほぼ、小林武史作品と言ってもいいくらい比重の高い、濃密な伝統芸術の継承的なお仕事だと想います。

また、意外だったのはピアノ奏者としての素晴らしさです。「異邦人」のキーボード演奏素晴らしくて、誰が弾いてるんだ?と想わずクレジット確認しました。小林武史さんだけでなく、他の楽器奏者も素晴らしいです。Ba.キタダマキ様、最高!神!Gt.名越さん、Dr.玉田さん。このメンバーが一番戦闘力強いですね。また、交わる気のしなかったシックなDr.河村“カースケ”智康さん。個人的にファンなので、嬉しかったです。以下、一曲ずつレビューしていきます。

①あなた

 一聴したときは、驚きました。予想より悲しく、繊細に響いたからです。以前も言いましたが、最期が狂気的になるところが、ロシア文学だなっと想った次第です。この曲は、小坂明子さんが16歳のときに作られた曲で、少女のあどけない夢の世界が描かれていますが、54歳のおじさんが歌うと、過去の回想、初恋の遠い記憶なんですよね。もう戻らない世界線の話で、余計悲しく聴こえて、胸が締め付けられます。ミヤジのファルセットが聴きどころ。

②異邦人

全視聴者が度肝を抜かれたCDTVライブ!ライブ!での生演奏。「とんでもねぇ異邦人キタ!!」とガクブルでした。いいのか?こんなにしちゃっていいのかい!?って恐ろしくなりましたが、意外とこれがカッケェ!まず、曲調の壮大さと、エレキギターの異邦人感と、ベースの技巧がたまらん。キーボードは力強く美しい。何より、MVの感じも、宮本浩次の破滅思考な表現に見事にマッチしていて、狂気を感じる。アルバムの中でも特に新しく生まれ変わった楽曲だと想います。

③二人でお酒を

この楽曲自体知らなくて、今回初めて聴いたのですが、アレンジがお洒落で、アコギの温かみがいいですね。一番好きなアレンジです。そもそもの楽曲の良さが、宮本浩次の歌唱でさらに引き立てられていると想います。54歳の哀愁と、サビでやや力強いところが、女性の意地を張る感じや、その奥に隠れた悲しみが出ています。精神的な強さと弱さが見える楽曲で、単純にマジでいい曲やし、主人公の女性がカッコよく、美しく浮かびました。

④化粧

TVの歌唱で聴いた時は、ちょっと切なさがすぎないかい?と想っておりましたが、このCDの歌唱が一番素晴らしいと想います。まさに、主人公の女性がミヤジに乗り移っている。流れるな〜の部分は、中島みゆきさんが乗り移っている。ヒロジの言う「この女性が可愛いくて好き」っていう気持ちは、ちょっとオレは解らないんですけど、この女性の切なさは理解できる気がします。この女性は凄い信じてるんだと想うんですよね、人を。でも、実際自分が信じてるより、相手はそうでもない場合が多かったり…なんか、きっと純粋な人ですよね。

⑤ロマンス

岩崎宏美さんも仰っておりましたが、本当に度肝を抜かれました。この歌詞をこう歌う!?っていう。もちろん原曲は知りませんでしたが、TV歌唱で聴いたときに、こんなに乙女の曲を、こんなにロックに歌うってどゆこと!?って。衝撃的に好きです。そして、この純粋な乙女心みたいなものを、持ち前の少年性で見事に表現している。女性らしいというより、純粋さと強い気持ちの衝動がミヤジと一致した作品だと想います。

⑥赤いスイートピー 

この楽曲だけ、蔦谷好位置さんのアレンジですが、全く埋もれてなくこの曲だけテイストが現代的で際立っていると想います。宮本浩次って声が素晴らしいので、その声をあえて消すというアレンジは普通ならしないと想うのですが、あえてサビで声を変えているところが斬新。というか、勇気いるアレンジ。 いい意味で、宮本浩次らしからぬアレンジで、トゲを無くしてお洒落に聴きやすくしているところが素敵です。また、歌唱は女性性でなく、ドストレートに男性で歌っているところが逆に色気がある。

⑦木綿のハンカチーフ

この曲は、男女両方の切なさを汲み取って、ミヤジが見事に掛け合いを表現している歌唱の素晴らしさや、表現力が際立った作品です。男性は男性の心情で、女性は女性の心情で歌声が響きます。また、最後の男性部分、「毎日愉快に過ごす街角」が愉快に聴こえない。愉快と言いつつ帰れない切なさが強く歌われている部分に、宮本浩次が歌った意味のある作品になっている気がしています。

⑧喝采

宮本浩次のカバーでも最高峰の作品だと感じています。エレファントカシマシでカバーした時も、本当に素晴らしいと感じておりましたが、見事に相違なく素晴らしいです。この女性が乗り移ったかのように、切なさと、悲しみが伝わります。宮本浩次の唄ってめちゃくちゃ感情が伝わるんですよね。痛いとか、悲しいとか、切ないとか、いろんな感情がブワって聴いてる人に伝染して、その気持ちに共感して涙が出ます。また、とても丁寧に歌っているので、楽曲へのリスペクトを多分に感じます。この楽曲の主人公にかなり近い心情で表現されてる作品。

⑨ジョニィへの伝言

単純に、元の楽曲が良すぎる。全然知らない曲でしたが、楽曲の展開が素晴らしいと想います。サビ→サビ→大サビ→サビみたいな感覚で、聴いてて気持ちいいです。その楽曲のメロディを見事に捉えて歌い上げている宮本浩次の歌唱が心地よく、何度も聴いてしまいました。「二人でお酒を」や「化粧」の主人公が浮かびますね。ミヤジは意地っ張りな女性が好きなのでしょうか?ヒロジも素直じゃなさそうなので、これ永遠に交わらない恋愛じゃない?Johnnyとしては、お互い素直になって欲しい…そう想います(笑)

⑩白いパラソル

どこのアイドル来たかとオモタ。ディンギーって何かしらんけど、この歌唱からすると、なんか可愛いやつですねきっと。いやあ、このアイドル感。ロックおじさん、こんな隠し球持ってたとは。一番可愛いぞ。このアルバムの中で一番可愛い。54歳のおじさんが歌ってるけど、マジで可愛い。涙を糸で繋いだ真珠の首飾り欲しい!贈ってくれ!可愛いから!あなたを知りたい?教えます!教えます!夏のシャワー、一緒に浴びよう!あやふやでごめん!心は砂時計ですね!わかりました!今度から腕時計やめて砂時計にします。

⑪恋人はサンタクロース

「白いパラソル」に並び、アイドル感満載の楽曲。Aメロとか宮本浩次の口から聴けるとは!っていう歌詞ですよね。これを歌えるってことは、宮本浩次のなかに何らかの女性性っていうか、純粋で、ピュアな部分が残っていてそれを引き出しているとしか想えないんですよね。他の同年代の男性歌手が歌いこなせるとは到底想えないです。宮本浩次しか無理だと想います。歌の上手さはもちろんなんですけど、どちらかというと表現力と演技力が凄いんですよね。あとは、移入の仕方が尋常じゃないから、引き込まれる。お見事。

⑫First Love

唯一、オレ世代の曲です。最初、宇多田ヒカル唄うって聴いて、大丈夫か!?って心配しかなかったんですけど、英語部分のあどけなさと、この楽曲の持っている少女の初恋の想いが合わせって、意外と良かった。そして、純粋に響く。感情の乗せ方がとても上手だと想います。きっと、ミヤジの想像の中の女性像なんでしょうけど、とても清らかですよね。一点の曇りもない想いみたいなものが垣間見えました。楽曲の素晴らしさを表現したというより、楽曲の中で歌われている主人公の純粋で繊細な気持ち、誰もが忘れている初恋、清らかな想いみたいなものを受け取れました。一言で言うとやさしい祈りに聴こえる。何だろな。不思議と包容力があると感じました。

これは単なるカバーアルバムではない。

最初は、世代じゃないし、知らない曲ばっかりだし、別れの曲ばっかりだし、歌謡曲か…って不思議と苦手意識を持っていたんですが、宮本浩次が唄えば、全ての楽曲の輪郭がはっきり見えて、映像が浮かんだり、感情が引き込まれたり…一曲一曲、絵画を見ているような感じがするんですよね。そして、聴いてて飽きないですし、心揺さぶられます。

エレファントカシマシの初期のアルバムもそんな感じなんですけど、エレカシ初期で出来なかったストリングスアレンジや、プロデューサーをつけて楽曲の良さを際立たせるって言う作業を今出来ていて、その時の自分を回収していっているんだなと想いました。そして、歌手として好きな歌を思いっ切り歌う。それが出来ているからこそ、楽曲へのリスペクトある素晴らしい歌唱につながっているし、その想いがリスナーにしっかり届いているんだと想います。世代の人が聴いても度肝抜かれるし、そうじゃない人が聴きても心をガシッと掴まれる。大人の本気を感じる最強で、最高傑作のカバーアルバムです。これは、ただのカバーアルバムじゃない。宮本浩次と小林武史が敬意を持って名曲を再構築した、後世に残る芸術作品です。たくさんの方に触れてもらえてて、本当にファンとして嬉しいぜ!

 

Johnny

 

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P.S.

「あなた」のMVは12月9日に公開。楽しみ。

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宮本浩次新譜感想-2020年
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ジョニーの小言
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